『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』ノンフィクション好きなら特に、ご一読がおすすめの一冊です。

『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』岩波書店

こんにちは。

未だ終わりが見えない、新型コロナウイルス感染拡大に伴う先行きへの不安。

この状況は、とても不謹慎かつ不適切な表現とは思いますが、人間というひとつの生物種としての生き方、ライフスタイル、社会システムなどのあり方について、「今一度、しっかり見直すべきだ」という警鐘なのかもしれません。

思い返せば9年前、新型ウイルスに揺れる現在と類似点の多い状況を経験しました。「この先どうなるの!?」「大丈夫なの!?」と、当時感じた不安と恐怖。その対象は、ウイルス同様、目には見えない〝放射能〟でした。

プロフェッショナルに支えられている社会、暮らしだからこそ押さえておきたい一冊

当時の状況と異なる点は多々あります。それに、「異なる点の方が多いだろう」というのは正直なところです。

ですが、「最前線という現場」で葛藤しながらも自らの心身をすり減らし、心を大きく揺さぶられつつ職務を遂行する「プロフェッショナル」が大勢居た/居るということだけは、当時も今も変わらないであろう「揺るぎのない事実」です。

現在の状況に当てはめて考えるなら、最前線といえる医療現場と医療を支えようとしている〝その名も、顔さえも知らない大勢の人たち〟でしょう。

真のプロフェッショナルの在り方、矜持(プライド)とは

加えて、子どもたちや社会的な弱者を気にかけて行動していらっしゃる方も多数いらっしゃいます。

そうした状況を下敷きに、本書『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』を読み進めると、さまざまな思いが湧き上がってきます。

ですが、本当の危機に直面したときに生まれる物語は、決して「美談」ばかりではありません。

それゆえに、たぶん努めて冷静に書き記したのであろう本書前半の記述は、迫り来る緊迫感に息が詰まりそうになります。そして、「真のプロフェッショナルの在り方」というか、矜持(プライド)を思い知らされます。

【引用】第1章「大震災発生 - 3月11日」
『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』- 17P
搬送先には事前に連絡をするのが通例だが、電話はつながらない。双葉厚生病院に直接連れていくと、「いいからどんどん連れてきて」と医師が言った。

PTSDがある方にはオススメできない一冊でもあります

もっともっと、いろんなことを挙げながらご紹介しようと目論んでいたのですが、言葉を連ねるほど「安っぽい紹介」になりそうなので、やめておこうと思います。

その代わりにというか、ジブンが最も気持ちを揺さぶられ、ここだけの話し、思わず涙してしまった一文を【引用】しておきます。

おそらく、前後の文脈やここに至る状況がわからなければ「?」な内容だと思いますが…(^^;

【引用】第7章「仕事と家族の間で - 3月17日〜月末」
『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』- 156P
実家に行くと、二つある冷蔵庫のうち一つはカラになっていた。避難した人たちを受け入れた両親が、食料をすべて使い切ったのだとわかった。もう一つの冷蔵庫を開けると、吉野家の牛丼が一つ、ポツンと入っていた。その牛丼の上に付箋が貼ってあり、父の字で「頑張れ」と書いてあった。

こうした部分だけでなく、本書を手にして読み進める人の数だけ、重ね合わせられるシーンや状況があることと思います。どんなに小さな記述や出来事にも。

本書を読み進めながら「ぜひ思いを巡らせてほしいと思う事柄」をジブンなりにひとつ挙げるなら、ジブンたちの暮らしを支えてくれている、あるいは〝安心・安全〟を支えてくれているプロフェッショナルと呼ぶべき〝誰か〟が「必ず居る/間違いなく存在している」ということ。

安っぽい表現かもしれませんが、そのような認識は「想像力」や「思いやり」によって生まれるものなのだと思います。

『孤塁/双葉郡消防士たちの3.11』著者の意図するところと合致しているかはわかりませんが、本書を手にする皆さまはきっと、そのような部分にまで想いを巡らせられるヒトたちだと思います。

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